【書籍】解像度を上げる【深さ×広さ×構造×時間】

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解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法

この本で得られる学び

  • 解像度が高い人が持っている4つの視点
  • 解像度が高いかを判断する基準
  • 解像度を上げるために重要なこと

解像度が高い人が持っている4つの視点

本書では「解像度が高い」状態を物事を深く・広く・構造的に・時間軸をもって理解・表現できる状態と定義している。解像度を上げるには、次の4つの視点を意識することが重要である。

  • 深さの視点
    原因や要因、方法を、細かく具体的に掘り下げること。深さの視点があることで、抽象的な議論に留まらず、具体例や数値を伴った説明ができる。
  • 広さの視点
    様々な原因やアプローチを考慮し、多様な可能性を検討すること
  • 構造の視点
    深さ・広さで集めた要素を整理し、要素間の関係性や重要度を明確にすること。要素間のつながりを「見える化」することで、複雑な問題でも整理された議論ができる。
  • 時間の視点
    現在だけでなく、過去や未来にわたる変化をとらえること。因果関係やプロセスの流れを意識し、時間をかけた影響も考慮する。

基本的には「深さ」が足りないことが多い。昨今、構造化されたレポートや理論などにたどり着くのは容易である。一方で、一定以上に深い情報はネットでは手に入りにくく、希少性が高い。現場に転がる深い情報を取得して、他の人と共有・議論することで、広さ・構造・時間の視点が拡充し、解像度を上げるサイクルが回り始める。

解像度が高いかを判断する基準

本書では、深さ・広さ・時間・構造それぞれの観点で解像度を診断する基準が記載されている。ここでは、その中から3点紹介する。

  • 質問できるか?
    わからない部分とわかる部分を切り分けられていないとき、解像度が低い
  • 簡潔に話せるか?(構造のチェック)
    重要な情報とそうでない情報を切り分けられていないとき、解像度が低い
  • 具体的に細かく説明できるか?(深さのチェック)
    サービスの対象顧客の具体的な人の名前を挙げ、その人のことを1時間以上話せるようになっていれば、深さの解像度は高い

解像度を上げるために重要なこと

本書では、解像度を高めるには、単なる知識取得だけでなく、情報と思考と行動の組み合わせが重要と説く。

  • まず行動を起こす
    • 多くの情報を持ち、優れた思考能力を持っているにも関わらず高い解像度に辿り着けていない人に共通しているのは行動が足りないということ。
    • 情報や思考が常態でも行動量を増やすことが肝要。行動によって得られた経験によって実感を伴った自分だけの思考を獲得できる。
    • 完成度をが高いものをいきなり作ろうとするよりも、Minimum Viable Product(MVP)を作成・リリースし、現場からフィードバックを得ることで効率的に深い情報を獲得できる。
    • 情報を得る→思考する→すぐ行動するのサイクルを短時間で回すことが解像度を上げるコツ
  • 粘り強く取り組む
    • 著者の経験上、スタートアップの場合、最低でも200時間は情報と思考と行動に使わなければ、最初のそこそこ良いアイデアに辿り着かない。
    • 失敗を恐れず、試行錯誤を繰り返すことが肝要。
  • 型を意識する
    • 効率よく情報を集め、整理し、アウトプットする「型」を持つ。正しい方法論を学び、それに沿った努力を重ねることが重要
    • 本書では、深さ・広さ・構造・時間の解像度を上げるための型を48種類紹介している。ここでは、個人的に取り入れたい型を3つピックアップする。
      • 言語化して状況を把握する(深さの型)
        まず取り組むべきは、今、最も重要な課題とその理由を書き出すこと。書くことで頭がはっきりとし、理解していないことも明確になる
      • Why so?を繰り返して、事実から洞察を導く(深さの型)
        事実をもとに思考し、そこから得られた洞察を言語化することで解像度が上がる。表面的な解決策に飛びついてしまうケースが多いが、もっと深い原因があるからこそ、課題が課題として残っていると考え、Why so?を繰り返し原因を特定することが肝要。
      • 前提を疑う(広さの型)
        「そもそも何のためにあるのか?」「必要なのか?」といった問いで前提を見直す。
        イーロン・マスクは、「そもそもスペースシャトルの原料は何か?」を考え計算したところ、当時のシャトルの金額の2%程度しかないことをつきとめ、少し工夫すれば金額で競合に勝てると考えた。

まとめ

『解像度を上げる』は、曖昧な思考を明晰にするための具体的な方法論を提供してくれる一冊。「深さ」から始め、「広さ・構造・時間」へと展開しながら、情報・思考・行動を高速で循環させる。このプロセスを徹底することで、物事をより細かく、多面的に捉えられるようになる。世界をより豊かに理解したいすべての人におすすめしたい一冊。


解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法
馬田隆明 著 | 英治出版| 352p

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