この本で得られる学び
- 人がなかなか集中できない2つの理由
- 机に向かってすぐに集中するための技術
人がなかなか集中できない2つの理由
集中力とは、「一時に、一点に全パワーを集める技術」である。人には本来、集中力が備わっている。例えば、子供時代、スポーツやゲームなど、「何かに夢中になった経験」は誰にでもあるはずである。しかし、集中したい場面で集中力を発揮できないのに以下のような要因がある。
- 「面倒くさい」「やりたくない」という感情
作業の難易度が高いと感じるとき、「今すぐやらなければならない」と頭ではわかっていても、一服入れたくなってしまう。例えば、仕事中ついコーヒーを飲みたくなるのは、本当にコーヒーが飲みたいわけではなく、「目の前の課題から逃げたい」という気持ちに負けてしまうためである。 - 「理想の自分」と「現実の自分」の間の大きなギャップ
目標設定によりモチベーションを頼って目の前の課題に集中しようするとうまくいかない場合がある。それは、「将来の目標」と「日々の作業」のギャップが大きすぎて挫折してしまうためである。目標設定をしてもうまくいかない人は、本書で紹介する集中の技術を使ってまず目の前の課題に集中することから始めるべきである。
「集中力」は、本来誰でも持っているものであり、コツをつかめば誰でも習得することができる。集中力は心の強さではないので、重要なのは心のトレーニングではなく、引き出すコツをつかむことである。
机に向かってすぐに集中するための技術
机に向かったらすぐに「姿勢を正す」→「マイナス×マイナス=プラス法でリラックス」→「集中カードで視点を一点に集中」の順に実施することをルーティーンとして身に着けることで、すぐに集中することができる。各ステップの詳細な説明は以下の通りである。
- 姿勢を正す
- 姿勢を正すことの大きなメリットは2つある
- 鼻呼吸しやすくなる
鼻は脳のラジエーターのような機能を果たす。鼻呼吸で外の冷たい空気を吸うことによって脳を冷やし、オーバーヒートを防ぐことができる。逆に鼻呼吸がうまくいかなくなると集中力がなくなり、仕事や勉強の効率が落ちてしまう。 - 酸素を効率よく脳へ運ぶことができるようになる
呼吸が深くなることで、脳のエネルギー源となる酸素を、より多く脳に運ぶことができるようになる。姿勢が前のめりになると、呼吸が浅くなり集中力が落ちて作業効率が上がらなくなる。
- 鼻呼吸しやすくなる
- 集中力が高まる姿勢の作り方
- イスに浅く座る
- 利き手を頭に乗せ、手のひらで軽く頭を押さえつける
- 上から頭を押さえつける力に反発するように、顎を引いて、背筋をぐっと上へ伸ばす
- 利き手を頭の上から降ろす
- 姿勢を正すことの大きなメリットは2つある
- マイナス×マイナス=プラス法でリラックス
- 力を一点に集めるためには、力の強さよりも入れ方が重要である。力が入っているときほど本領を発揮できない。リラックスが集中力の下地となる。簡単なリラックス法として、本書では「マイナス×マイナス=プラス法」が紹介されている
- 「マイナス×マイナス=プラス法」の手順
- 両肩を上げて2, 3秒保つ
- 脱力し、腕をストンと落とす
- 人間は「緊張してはいけない」と思っているときほど逆に緊張してしまう。そこで、あえて肩に力を入れて緊張というマイナスの負荷をかけ、さらに肩をあげることで、さらなる緊張状態により体にマイナスの負荷がかかる。その状態からストンと脱力することで、体は自然とリラックス状態となる。体にかけた緊張という負荷を一気に解くことで、体をリラックス状態(=プラス)の状態にもっていくことが可能になる。
- 集中カードで視点を一点に集中
- 著者が集中力に関する指導を行う中で見出した集中できない人の共通点は、「目が泳いでいる」ことである。集中力のない受講者は、講義中、ホワイトボードを見ているようでまったく見ておらず、視線が泳いでいる。集中するためには、目が泳いでいる状態とは逆に、目線を一点に集めればよいと考えられる。そこで、著者は視点を一点に集めるための「集中力カード」を用いたルーティーンを考案した。集中カードは、中央に菱形(ダイヤモンド)の形が描かれたカードである。集中カードがない場合は手のほくろで代用することもできる。集中カードを用いたルーティーンは以下の通りである。
- 5,3,8の深呼吸を3回行う
鼻から吸って(5秒)、止めて(3秒)、口からゆっくり吐く(8秒) - カードの中心にある点に焦点を合わせ、20秒間見つめる
- ゆっくり目を閉じる
すると、中央の点を中心とした、ダイヤモンドの残像が浮かびあがる。残像を残せる時間が長い人ほど集中力が高い。 - 残像が消えたら、ゆっくりと目を開ける
- 今からやるべきことを開始する
- 5,3,8の深呼吸を3回行う
- 著者が集中力に関する指導を行う中で見出した集中できない人の共通点は、「目が泳いでいる」ことである。集中力のない受講者は、講義中、ホワイトボードを見ているようでまったく見ておらず、視線が泳いでいる。集中するためには、目が泳いでいる状態とは逆に、目線を一点に集めればよいと考えられる。そこで、著者は視点を一点に集めるための「集中力カード」を用いたルーティーンを考案した。集中カードは、中央に菱形(ダイヤモンド)の形が描かれたカードである。集中カードがない場合は手のほくろで代用することもできる。集中カードを用いたルーティーンは以下の通りである。
まとめ
『机に向かってすぐに集中する技術』は、集中できない理由を明確にし、それに対する具体的な対処法を提示している。姿勢の整え方、リラックス法、視点を一点に集める集中カードの活用など、すぐに実践できるルーティンが紹介されている。さらに、五感を使った集中法や、集中時間を延ばす工夫にも触れられており、内容は実用的かつ幅広い。子供から大人まで、集中力を必要とするすべての人に適した一冊となっている。
森健次朗 著 | フォレスト出版 | 146P
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