この本で得られる学び
- コンサル流話す技術
- コンサル流思考術
- コンサル流デスクワーク技術
- プロフェッショナル・ビジネスマインド
コンサル流話す技術
- 結論から話す
常に短時間で、正確に、説得力を持って相手を動かす必要がある。そのための基本は「結論から話す」こと。曖昧な前置きを排し、先に結論を提示することで、相手に安心感と理解のスピードを与える。その上で、PREP(Point→Reason→Example→Point)という構成を用いる。主張→理由→具体例→再主張という流れで話すことで、話の筋が通り、論理の強度が増す。 - 相手の期待値を超える
コンサルタントに限らず、ビジネス全般において普遍的な原則だ。上司やクライアントが望む以上のアウトプットを出すことが信頼につながり、次の仕事に結びついていく。重要なのは、相手が何を求めているのか、なぜそれを必要としているのかを理解すること。その背景や目的にまで立ち戻って考え、具体的な成果イメージをすり合わせ、質の高い仕事を提供する。仕事の優先順位と緊急度を見極め、限られた時間の中で、いかに期待を上回るか。そこにビジネスの本質がある。
コンサル流思考術
- 「考え方を考える」という考え方
仕事の依頼が来たとき、すぐに作業に着手するのではなく、まず「どう進めるか」を考え、その手順に上司や関係者の合意を得る。これにより無駄な修正ややり直しを減らし、効率的に成果を出すことができる。 - 常に自分の意見をもって情報にあたる
ただの情報収集ではなく、そこに自分の仮説や判断を添えることで、ビジネスパーソンとしての付加価値が生まれる。単に知識を蓄えるのではなく、「考えること」こそが、最終的な能力の差となって現れる。
デスクワーク技術
- 最強パワポ資料作成術
- コンサル流のパワーポイントは、シンプルイズベスト。見た目に凝ったものではなく、内容がシンプルで明快なものが望ましい。
- 原則は「ワンスライド・ワンメッセージ」。一枚のスライドに一つの主張を載せ、その根拠となる数字や事実、さらに自分の解釈をセットにする。見る人に負担をかけず、伝えたいことが一瞬で伝わる構成が、もっとも信頼される資料になる。
- 仕事の速さを2倍速3倍速にする重点思考
- スピードの秘訣は、余計なことをやらないことに尽きる。
- 無駄を省き、やるべき20%の重要業務に集中することで、全体の80%の成果を出すというパレートの法則を実践する。これは単なる時短術ではなく、真に価値ある仕事を見極め、そこに深くリソースを投下するという意思決定力でもある。余計なことにリソースを分散させず、フォーカスしてディープに掘る。これが本物のスピード感を生む。
プロフェッショナル・ビジネスマインド
- ヴァリューを出す
- ヴァリューとは、付加価値のことである。自己満足ではなく、相手が求めていることに応えることでしか、仕事に意味は生まれない。つまり、「やりたいことをやる」のではなく、「相手の期待に応える」ことが、社会人としての基本姿勢である。
- 社会人は消費者ではなく、生産者である。会社のために、自分の時間と労力をどう投下するか、その先の顧客にどう価値を届けるかを考える必要がある。その視点に立てば、「自分の好き嫌い」で行動する余地は少なくなる。
- 師匠を見つける
- 若手のうちは「何をするか」より「誰と働くか」が重要である。良い師匠を見つけ、その人から直接学ぶ。そうすることで、言語化できない暗黙知、つまり本物のプロフェッショナルの所作を身につけることができる。マニュアルに書かれていない「違いを生む技術」は、人から人に伝わるものだ。そうした影響を受けられる環境に身を置くことが、若手にとっての最大の成長戦略になる。
まとめ
『コンサル1年目が学ぶこと』は、単なる業務ハウツーにとどまらず、「成果を出すとはどういうことか」「プロとして働くとはどういうことか」を深く掘り下げた一冊である。
論理的に話す技術、物事の考え方、資料の作り方、仕事の進め方、そしてプロフェッショナルとしてのマインドセット――。そのすべてが、シンプルながら本質的で、どの業界・職種においても通用する。
新人だけでなく、数年仕事をしてきた人にとっても、自らの仕事の原点を見つめ直すきっかけになる。結果が出せない、伝わらない、成長が鈍化している。そんな壁に直面している人ほど、この本の中にある「基礎の強さ」に救われるだろう。
大石哲之 著 | ディスカヴァー・トゥエンティワン | 224P
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